何年かぶりにマイクを買った。この前、買ったのは、たしかDATウオークマンを買ったときなので、10年くらい前になる。ま、マイクなんて、毎年買うものではないが。
これまでは、DATウオークマン用に電池式のコンデンサマイクを使っていた。私が持っているマイクといえばこれだけ。仕事で音声録音をすることもあるが、その多くがインタビューなどであるため、マイク一本で事足りていたのだ。
しかし先日、座談会の録音をしなくてはならなくなった。こうなると、マイク一本では心許ない。ということで、マイクをもう一本購入することにした。すでに持っているものと同じタイプにしようかと思ったが、ここはおごってShureを買った。30年前を思い出したからであり、今でもやっぱりShure58は定番だと知った(Webで)からだ。
マイクの数が複数になると、必ず必要になるものがある。ミキサーだ。学生のころに買った古~いミキサーがあるが、これはノイズ乗りまくりのすごいもので、今では全く使えない。仕方なくミキサーも買った。とはいえ、本音は「わーい、新しいミキサーと、Shureのマイクが手に入ったぞ~」だ。ミキサーはずっとほしかったが、なかなか買えなかった。今回は、仕事にかこつけて買うことができた。ラッキーである(笑)。
しかしそんな私のワクワクした気分は、これら機材の買い出し時に台無しにされたのだった。
市内にある某楽器屋の店員(推定29歳)は、私がミキサーを物色していると声を掛けてきた。適当に話を合わせていたのだが、彼はどうも自身がDTMをやっているらしく、コンピュータとの連携について話を進めた。で、私が「マックを使っているんだけど」と言うと、彼は目玉を倍くらいの大きさにして「マック……ですか……」と言った。その顔は明らかに「なんでマックなんか使っているんだ」と言っていた。ここで私の気分が一気に悪くなったのは言うまでもない(笑)。さらに、だめ押しである。「ソフトは何をお使いですか?」との問いに「ロジックですが」と答えると、さっきの「マック……ですか」と同じ顔で「ロジック……ですか」と言い、「ロジックは、アップルに買い取られてしまったから、選択肢が狭くなってしまいましたもんねえ……」と、哀れむような目で私を見るのだ。
やっぱり世間は、Windows中心の世界なのだろうなあと、改めて思った。家にWindowsコンピュータがある、それを使って何かをする……、そういう流れが普通なのだろう。また友達が使っているコンピュータはWindowsである場合がほとんどで、その流れからもやっぱりWindowsコンピュータを使いだすことになるのだろう。うちの息子に至っても、普段はiMac(家族で供用)を使っているが「ネットゲーム用にWindowsがほしい」などと言う。Macではプレーできないからだと。
まあ仕方のないことだ。Windowsが主流なのは分かっていたことだが、こと音楽となれば、一般のシェアと比べてMacが多めなのではないかと思っていた私が無知だったのだろうか。それとも、某楽器屋の兄ちゃんが、Windowsしか知らない(知ろうとしない)人物だったのか。
楽器屋での不機嫌は、家に帰ったらすぐに直った。やっぱり新しい機材が手に入るのはうれしいものだ。ミキサーを広げ、Shureマイクからのキャノンコネクターをつなぐと、それだけでうれしくなる。それから2時間ほどテストをしたが、なかなか良い。機材も良いが気分も良い。「やっぱ、Shureだよなあ。音が違うわあ」などと、独り言が出る。しばらくは、気分良く仕事ができる気がした。安いものである(笑)。
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