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バンド結成か?
 

 二男がエレドラを買った。YAMAHA製だ。お年玉やら、その他、しこしこと貯め込んだ金をすべて放出したようだ。中古なので、それほど高くはないが、高校1年生にとっては膨大な金額だったのだろう。

 エレドラとは、エレクトリック・ドラムのこと。YAMAHAは「サイレントドラム」という名で売っているが(その後、電子ドラムと呼ぶようになったらしい)、このネーミング、なんだか練習用ドラムの臭いがするので、個人的にはあまり好きではない。ま、名前はどうでもいいのだが、要はゴムのパッドを叩くとそれが電気信号になり、アンプやヘッドフォンなどでドラムの音になるというものだ。

 ご存じの方も多いと思うが、普通のドラムの音はすこぶるデカい。一般民家なんかで叩けたものではない。

 実は何年か前、私の実家の隣に住む家族で、普通のドラムを叩いている人がいた。この家の息子らしい。たまたま私が実家へ行ったとき、道路から、やれシンバルだ、やれスネアだ、やれキックだと、ものすごい音が聞こえてきた。あや~、これは近所迷惑だなあ、と即座に思った記憶がある。同時に、隣に住んでいる両親に同情したのだが、彼らは「まあねえ、息子さんがドラム好きだそうなんで」と苦笑するだけだった(笑)。

 さてそんなドラムだが、エレドラは普通の生ドラム(こんな呼び方あり?)と比べれば、すこぶる音が小さい。なんせ、ゴムのパッドを叩くだけだから、ペタペタという音がするだけだ。部屋にこもって、窓も戸も閉め切っていれば、ペタペタ音は聞こえるものの、気になるほどではない。ただ、キック(ベースドラム=一番大きい太鼓で、足でペダルを蹴って叩く)はダメだ。太鼓に相当する部分は、ここもまたパッドなのでペダルが当たってもそれほど大きな音はしないが、ペダル自体は普通の生ドラムのものを使うし、だいたいが「蹴って」音を出すわけだから、その振動がすごい。二男の部屋は二階にあるので、彼がドラムセットを叩いているときは、キックの音が下に響く。それでも生ドラムの音を知っていれば、比べものにならないくらいおとなしい。でも、やっぱりうるさい(笑)。

 さて、二男がエレドラを買った日、三男(小学校5年)が楽器屋についてきた。で、兄ちゃんが楽器を買ったもんだから、自分も買いたくてしかたがなくなったようだ。楽器屋(ロッキンという店)で、ミニギターを見つけ、それがほしいと言い出した。

 ここで見つけたミニギターは、往年の「ぞーさん」(エレキギターのボディにスピーカーが内蔵されており、外部アンプがなくても音がでる、いわゆるおもちゃエレキギター。最近では、タレントの「はなわ」が、そのベース版を持って歌っていることがある)を彷彿とさせるものなのだが、いかんせん、ミニというだけあって、フレットの幅が狭い。

 これを見て私が「どうせなら、普通のギターを買った方がいいぞ。お前がちゃんとギターをやる気ならな」と言った。すると彼は、一日真剣に考え、翌日、「普通の」エレキギターを買うと言い出したのだ。

 え? 小学校5年生がエレキギターかよ……。私の目は、ちょっとだけ点になった。でもまあ、それもいいか。早くて悪いことはない。

 で、彼もまた、お年玉やら、それまで貯めていたお金やらを放出して、2万円のストラトキャスター(もちろん、まがい物)を買った。ミニアンプやシールド線まで付属しているので、彼にはちょうどよかった。

 さて、二男は、中学時代から「カワイ音楽教室」のドラム科に通っていたので、まあそこそこは叩ける。とはいえ、キックはもたるし、なんか全体的に走るしで、「もっと練習したまえ」的な叩きだが、まあ自分で勝手にセッティングして叩けるので世話がない。しかし三男は全くの初心者。以前、女房の弟が「使わなくなったから」と貸してくれたフォークギターをさわっていたが、「手が痛い」と言って放り出してしまった。それでもギターへの思いは断ち切れないようで、今度のストラトキャスターだ。まあ、エレキギターの方が、単に弦を押さえるという面だけを考えれば弾きやすいから、少しは続くだろうかと思って少し教えたら、あれまあ、結構続くのである。で、結局、「泳げタイ焼き君」をコード弾きながらもマスターしてしまった。こいつ、もしかしたら続けるかも……。

 さて、前置きが長くなったが(今まで全部が前置きかい!)、実は私も、若いころにキーボードやらギターやらをいじっていて、アマチュアバンド活動もちょっとやっていた。今ではほとんどやっていないが、二男と三男が楽器と戯れているのを見て、昔の血が騒ぎ出した(笑)。

 二男がドラムを買った。三男がギターを始めた。ふむふむ。状況がそろいつつある。長男は今、大学で県外へ行っているが、彼もまた、ちょっとだけドラムを習った経験があり、ピアノもちょっとだけ弾ける。また「ギターをやってみたいなあ」なんて、ほざいておった。よし、この際、彼をベーシストにして(ギターに似ているぞと騙して)しまえば、バンドができるじゃないか。ドラム、ギター、ベース、そして私がキーボードをやればいい。う~ん、これは全くもっていいアイデアだ。

 来週、長男が帰ってくる。春休みだからだ。さっそくこのアイデアをぶつけてみようか。でもなあ、きっとこの素晴らしい考えも、ぼしゃっちゃうだろうなあ……(涙)。「父さんのわがままに付き合うのか?」とか言われて(笑)。それでも、いつか「家族バンド」ができるかもしれない。そう思うと、なんだか、うきうきしてくる。バンド結成の暁には、女房はタンバリンぐらいで参加させてやろう(笑)。

copyright : Masaru Inagaki(20060211)

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