FUSION-PCをご存じだろうか。「フュージョン・ピーシー」と読む。
「フュージョン」という言葉を聞くと、ちょっと年齢がいってる人は「ああ、カシオペアやスクエアがやってたような音楽ね」と思うかもしれない。もっと年齢の低い人は「鳥山明氏のドラゴンボールで、孫御飯とトランクスが合体したあれ?」なんて思うかもしれない。どちらもハズレ。こいつは、れっきとしたコンピュータ・ソフトウエアだ。それもWindowsマシン用のソフトだ。
で、このコーナーに書くわけだから、やっぱりマックと無関係ではない。それどころか、めちゃくちゃ深い関係があるんだな、これだ。
FUSION-PCは、現在、オープンテクノロジーズ(http://www.opentech.co.jp/)という会社が販売している。すでに日本語版が出ており、使っている人も多いはずだ。まあ、多いと言っても、ふつうのコンピュータユーザは、あんまり使わないかもしれない。なぜって? このソフトは、Win機でMacOSを動かすエミュレータだからだ。
Soft Windowsというソフトがあるのを知っている人は多いだろう。Virtul PCも似たようなソフトだ。これらは、マック上でWindowsが走るというもの。こいつをマックにインストールすれば、Windows用のwordだってExcelだってインストールできるし、もちろんWindowsで使うのと同じように使うことができる。インストールしたマックのパフォーマンスが低いと、ちょっと苦しいかもしれないけど、今のG3程度のマックなら、全然問題なく使える。
で、FUSION-PCは、これと全く逆のことができるソフトなんだ。Windowsが走っているマシンで、MacOSを走らせることができる。どうだ、いいだろう(笑)。
でも、どうしてそんなものが必要なのか、と思う人もいるかも。また「Win機しか持ってないけど、MacOSも体験してみたい」とか「Win機メインで使ってるけど、マックからのデータをもらうんで、それを開きたいから」なんて人用に思えるかもしれない。ところがどっこい、そうではない。もちろんそういうWindowsユーザーもターゲットになるんだけど、本当の目的は、マックユーザーにあるのだ。
サブノートというものが、日本ではかなり人気だ。IBMのThink Padとか、東芝のリブレット(だっけ?)とか、ソニーのVAIOとか…。特にソニーのVAIO 505やC1といったコンパクトな機種は、人気が高い。ところがマックには、そういうサブノートがない。確かにPowerBook2400Cはあるが、Win機のサブノートと比べると、かなり大きいし厚い。あれはあれでいいマシンだし、デザインを優先したために、あの大きさになったようだからいいんだけど、やっぱりマックユーザーとしては、もっと小さいのもほしいよね。
で、Windowsの世界を見ると、小さいのがあるんだよね、これが。マックユーザーはそれを見て「いいな~、マックにも、ああいう小さいのが出ないかなあ」なんて思ってる。いや、本気でうらやましがっている人はかなり多いようだ。
そこでFUSION-PCの登場だ。こいつをWin機のサブノートに入れる。すると、あらまあ、Win機でMacOSが走ってしまうのだ。これはいい。それにこれだと、WindowsもMacOSも、どちらも使えることになる。なんともうれしいではないか。
実際、FUSION-PCを使っている人の多くは、サブノートにインストールしているようだ。Win機のデスクトップマシンに入れている人も、そりゃあいるだろうけど、マックユーザーなら、やっぱりサブノートだよね。
そんなFUSION-PCの価格は、12,800円。安い!
ただし、いいことばかりではない。FUSION-PCは、MS-DOSを基本にしている。インストールや設定は、すべてMS-DOSの世界でやらなくてはならない。config.sysなんて言葉は聞いたこともないなんてユーザーには、かなりハードルが高い。新しいバージョンでは、Windowsから操作できるようにするようだけど、まだそれは出ていない。だからほんとうにきつい(笑)。でもご安心あれ。日本語の解説書(2,500円)が出たのだ。こいつを読めば、Winに全く弱いユーザーでもなんとかなるらしい。うれしいじゃないか。
で、もう一つハードルがある。FUSION-PCを使って、Win機でMacOSを走らせるためには、マックのROMイメージが必要になる。FUSION-PCには、このイメージが含まれていない。てことは、自分で用意しなくてはならないのだ。どうやって用意するかって? それは簡単。マックが一台あればいいのだ。ただしCPUが68030や68040というPowerMacより前のマックでなくてはならない。現時点でFUSION-PCは、PowerMacには対応していない。そしてROMを使うマック(68系のマック)は、自分の所有物でなくてはならない。人のマックからROMイメージだけもらってきて使うのは、立派な犯罪行為となる。
まあ、中古屋へ行けばLC575クラス(68040)なら20,000円程度で買えるから、もし68系マックを持っていないなら買ってもいい。うちには、68系のマックは腐るほどある(笑)んで、その辺は大丈夫なんだけどね。
さて、いかがだろうか。外出することが多くて、外でプレゼンをする人。プレゼンはしないけど、外でメールチェックやワープロ打ちをしたい人。あるいは、スプレッドシートやデータベースを外で使うことが多い人。その上、小さいサブノートが使いたくて、その上、OSはWindowsじゃ嫌だという人。そんな人にはうってつけだ。
私もたまにPowerBookを持ってプレゼンすることがある。でもそれは550Cという68040の機種で、表示も256色が基本というものだ。外部モニタへも出せるが、やっぱり256色しか出ない。これがネックになっている。その上「とても軽い」とは言えない。電源系やらその他のケーブルやら持っていくと、3~4kgくらいになってしまう。つまり専用のバッグが必要になるということだ。その点サブノートなら、仕事用にふだん使っているカバンに入るし、かさばらない。重さも550Cよりずっと軽い。その上、MacOSが走るのなら、これはほしい。
だから今、私はVAIO C1がほしい。まあたぶん買えない(経済的問題から・笑)だろうけど、あれなら液晶表示が、1024pix×480pixだから、プレゼンにも使える。外部モニタに出力すればいい。基本的には640pix×480pixあればいい(私の場合)から、問題ない。その上軽いし、デザインもいい。カメラまでついてるし(笑)。う~ん、ほしいぞ~。VAIO C1にFUSION-PCを入れて使いたいぞ~。
ねえ、そう思わない?(笑)
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注1)一部のノートPCではFDDを認識しないという問題があるようです。VAIO C1が、もし「一部のノートPC」だったらどうしよう…と不安になったりします(笑)。そのへんも解説書に書いてあるような話もありますが、どうもよく分かりません。とりあえず、解説書を買った方がいいかも。
注2)FUSION-PCを使う際のハードルは、本文中の事柄だけではありません。MS-DOS用マウスドライバが必要だとか、ROMイメージを使うマックも68系ならすべていいというわけではないとか、いろんな制約があります。やっぱり解説書を買った方がいいかも…。
注3)FUSION-PCはマックの68系マシンエミュレータですから、PowerPCネイティブのソフトウエアは動きません。このへんが、ちょっときついところです。そろそろマック用ソフトも、PowerPCネイティブのみというものも増えてきましたから。
解説書及び、FUSION-PCについては、オープンテクノロジーズのホームページを参照してください(http://www.opentech.co.jp/)。
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