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グダグダ
満足できるクルマってどれだ?
稲垣 優

 前回の「Today's Guda-Guda」で、クルマの名前に間違いがありました。「Today's Information(今日のお知らせ)」に訂正があります。ごめんなさい。

 でもって、また今日もクルマの話。

 今日、左ハンドルのクルマに乗った。左ハンドルっていっても、海外向けの日本車じゃないよ。フランスのクルマだ。もちろん買ったわけじゃない。それに運転したのは10分くらいだった。

 実をいうと、左ハンドルのクルマを運転するのは、初めてだった。初めは戸惑ったよお~。だって、シフトレバーを右手で操作しなくっちゃならないんだから。オマケにウインカーは左にあるし、右の(日本車だとウインカーの)レバーはワイパーなんだよね。確認してから動かしたから間違えなかったけど、初めて乗る人は、だいたい右左折でワイパーを動かすんだってさ(笑)。

 で、走行中も、結構怖かった。ハンドルが左にあるってことは、自分が中央線から遠いってことでしょ。左の路肩の線を見ながら走るかたちになるんだよね。初めのうちは、頭で理解しているから、なんとかなっていた。そのうち、ちょっと慣れてきたら、いつの間にかクルマが右へ行くんだよ。知らず知らずのうちに、右ハンドルの感覚になっちゃってたみたいだ。そのとき対向車が来た。たしかトラックだったと思う。途端に、助手席に座っていた人物(男性)が縮み上がった。そりゃそうだ。自分の目の前にトラックが近づいて来るんだから。慌てて私がハンドルを左へきる。事なきを得たんだけど、助手席の御仁は「今のは肝を冷やしたなあ」と言った。ごめんなさいね~。

 てなことで左ハンドル初体験は、結構怖かったけど、毎日乗っていれば、慣れてしまうんだろうなと思う。ただ、有料駐車場などの入り口はつらそうだ。入場用のチケットが取れないもんね。こういうチケットって、右側にあるじゃない。だから。最近では両側からチケットが出るところもあるそうだけど、まだまだ少ないからね。

 左ハンドルと言えば、外車のシンボル。ちょっと前までは、ある種のステータスだったとも言える。でも、高級車として有名な、あのキャデラックも右ハンドルのクルマを作ってると聞いた(確認してないけど)。つまり需要が多ければそういうクルマも出る。だから今となっては、外車イコール左ハンドルてなことはない。以前、MGに乗ったことがあるけど、コイツは右ハンドルだった(イギリスのクルマだもんね・笑)。

 最近の若い人は(なんて書くと、自分が年寄りだと言っているようなものだが・笑)、外車に対する羨望ってのが、あんまりないという話を聞いた。特に外車でなくてもいい。日本車でもいいクルマはいっぱいある。だからだそうだ。外車にこだわってるのは「35歳以上のおじさん」だとか。そんなもんかねえ。私にはよく分かんないけど、確かに日本車って「修理知らず」だし、パワーもあるしで、結構いいんだよね。クルマ選びは、最終的にはデザインで決められちゃったりすることも少なくないけど、そういう意味でも日本車のポイントは高くなっている。

 話は戻るけど、私も外車に対する羨望はあった(年齢は言わないけどね)。でも、最近いろんな外車に乗る機会があって、だんだん考え方が変わってきた。外車だからいいとか、そういう感覚がなくなってきた。ヨーロッパのクルマでも、アメリカのクルマでも、韓国のクルマでも、日本のクルマでも、いいものはいい。でもってこの「いいもの」の「いい」は、何がいいのかが問題になるわけだ。スピードが出るからいいのか、修理知らずだからいいのか、それともゴージャスだからいいのか……。このあたり、人それぞれなんだろうけど、結局のところは、自分を満足させてくれるかどうかってことでしょ。

 外車だからということが(昔は)満足の要素になっていたこともあるだろう。でも今は、そういう感覚は一般に薄れてきた。それは日本車が優秀になったせいだろう。でもある人に言わせれば「日本車は機械だ。ヨーロッパ車はクルマだ」なんだって。優秀な機械だから満足して乗れるというものでもないんだよね。たとえ壊れたとしても、それを直しながら乗っていく。これがいいという人もいる。一目見ただけで気に入ってしまい、それがどんなに壊れるクルマでも手放せなくなる。そういうのって、確かにある。昔のマックはよく止まったのに、それでも愛着があったてのに似てるね(って、こればっかしや)(笑)。

 てことで、今、私を満足させてくれるクルマはなんだろう。そう考えると、なかなか思いつかない。前回、アルファロメオが好きだって書いたけど、これだって実際に乗ったことがないんだから、いい加減なものだ。もし乗る機会があったら、好きではなくなるかもしれない。でもって、結局は(今乗ってる)3ドアのアコードに落ち着いたりして……。

 そうそう、今月、このアコードを車検に出した。9年目だ。まだまだ乗れるね。あと3回くらいは車検を通そうかと思ってる。修理しながらね。てことは、コイツは私を満足させてくれているのかもしれない。キズだらけだし、走行中はギシギシいうし、エンジンが温まるまでは(冬は)アイドリング時に止まるし……。こんなヤツなんだけどね~。でも当分、手放さないだろうなという妙な確信があったりする。でもってそう思えることが、うれしかったりもするんだよな、これが……。

copyright : Masaru Inagaki(1998.3.15)

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