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おかしな文例
 

 Fetch(フェッチ)というソフトをご存じですか? マックの世界では結構有名なFTPソフトです。ホームページ用のファイルをサーバーへ転送したりするときに使います。

 私が初めてホームページを作ったとき、どうやってサーバーへ転送するのかも全く分からず、いろいろ調べていたのですが、そのころ知ったのがFetchでした。当然、OS Xではなく、漢字Talkの時代です。今、OS Xの時代になり、FetchもX対応へと移行しています(とはいえ、古いOS用もまだまだ出ています)。

 現在、一般に公開されているバージョンは、4.0.3です。私もこれを使っておりますが、なんでもアメリカでは新しいバージョンである5が出たとの噂を聞きました。そこでさっそくWebページにアクセスしてみたところ、ふむふむ、確かにver.5のスクリーンショットなどが出ています。

 で、トップページには、ver.5を紹介するツアーがあり、それを順に見ていったのですが……。

 ツアーの6ページ目まで来て、おや?と思いました。なんなんだこれは?

 そこには、ファイルリストの画面があるのですが、英語だけでなく、ロシア語や中国語、そして日本語のファイル名が掲載されています。で、日本語ファイル名ですが、なんと「私のホバークラフトは鰻が一杯です」とあるのです。何これ? 訳がわかんない(笑)。ファイルの種類は、documentとあるので、何かの書類でしょうが、こんな例をソフトの紹介ページに出すっても、なかなか変ですね。

 ま、朝から笑わせていただきました(笑)。

 妙な例と言えば……。

 OS Xをお使いの方は、アプリケーションフォルダ内にある、Font Bookというユーティリティーを開いたことがあるでしょうか? これはインストールしてあるフォントを管理するものですが、ここにあるフォント名(日本語フォント)をクリックすると、右側ウインドウで書体の雰囲気を見ることができます。ここには、ある文章が書かれています。それは……。
 
 あのイーハトーヴォのすきとおった風、
 夏でも底に冷たさをもつ青いそら、
 うつくしい森で飾られたモーリオ市、
 郊外のぎらぎらひかる草の波。

というもの。当初、私は「何これ?」と思いましたが、どうやらこれは、宮沢賢治の作品の一部のようです。『ボラーノの広場』の155ページに掲載されているとか。

 で、イーハトーヴォって何?と調べたところ、どうやら賢治が暮らした岩手県のことのようですね。モーリオ市は盛岡市のこと。エスペラント語であるとかなんとかいわれているようですが、よく分かりません。宮沢賢治に詳しい方の間では、常識なんでしょうか?

 とまあ、朝からいろいろな文例で楽しませてもらいました。

 そういえば、漢字Talk時代のマックのフォント文例は、英語で「茶色の背中の狐が……」みたいなのだったような気もしますが、もうOS Xに移行してしまったので、よく分かりません(^_^;。


(追記)

 「茶色の背中の狐が……」は、元の英語は「The quick brown fox jumps over the lazy dog.」で、これは、パングラムの有名な例だそうです。パングラムとは、全ての文字(アルファベットなら26文字)を使って文章を作る言葉遊びだとか。日本の「いろは歌」は、全ての仮名が使われているため、これもパングラムにあたるといいます。(https://ja.wikipedia.org/wiki/パングラム

 また「私のホバークラフトは鰻が一杯です」は「My hovercraft is full of eels」の和訳で、こちらはMonty Python(モンティ・パイソン)のナンセンスフレーズだとか。全く異なる内容をこのように言ったため、全く伝わらない、つまり「何言ってるのか分かんない」というギャグなんだとか。元ネタを知らないと、ただの「なんだか分からない文章」でしかありませんね。

copyright : Masaru Inagaki(20050603)

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