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Mac &
さよならクラドラ
稲垣 優

 ホントに個人的な話で超恐縮なんだけど、やっぱ書いておいた方がいいような気がするんで、書いちゃうね。

 今、うちには何台かのコンピュータがいるけど、そのうち一台は、借り物なのよ。Quadra800(くわどら・はっぴゃく)ってのがそれ。正式にはMacintosh Quadra 800っていいます。Quadraには、700とか840とか、いくつかの種類があったんだけど、そのうちDTPをやってる人に人気があったのが、この800。実を言えば私、コイツを安く買える機会があったけど、ま、お金がなくて買えなかったという過去をもっております。

 現在のメイン機はPowerMacで、画像のスキャンなどに使っていたサブ機が、なんと往年の名機LC IIIなのね。これって68030というCPUをもってて、ま、当時は速いほうだったんけど、今となってはあなた、そりゃもう……。で、Quadraはその名が示すように68040というCPUをもっております。68030より、かなり速いのね。このCPUが出た当時はみんな、こぞってグレードアップしたがったものです。でも私は、その波に乗り遅れたのでありました。

 で、そうこうしているうちに、PowerMacの時代がやってきたので、第一世代のPowerMacを買ったってわけ。それが今のメイン機だけど、サブで使うのは、結局68030。なんとうちには、68030のマックが3台おります。

 そんでもって、どうしてQuadraちゃんがやって来たかというと、こいつは知り合いのところで眠っていたヤツなんですよ。知り合いもマックを使って仕事してるんだけど、時代の波に逆らえず、PowerMacを導入。で、Quadraが余っちゃった。とはいえ、プリントサーバーとか、そういうのには使えるよねってことで残しておいたらしいんだけど、なんかいろいろあって、結局使ってなかった。そこで私が借りることになったのであります。LC IIIより速いから、サブ機にしようと思ってね。

 で、借りたのは、確か半年くらい前だったような気がする。そいつを今月中(6月のうち)に返すことになりました。その知り合いが大阪に出張所を出すってことで、とりあえずのコンピュータが、いることになったのね。だから。

 うちとしては、借りっぱなしになってたから「どうぞどうぞ」と熨斗を付けてお返ししなくちゃいけないくらいなわけで、とにかく早急に返すつもりです。でもね、そうなるとまたサブ機がLC IIIになっちゃう。どうしよう。やっぱ新しいの買わないとだめかな? そんなことをほかの知り合いとの雑談の中で話すと「仕事に使ってるんだろ? だったら買うべきじゃないの?」って、みんなに言われる。そうだよなあ。G3も安くなってきたことだしなあと思う、今日このごろでありんす。

 でね、うちには550CっていうPowerBookもおります。こいつも68040のCPUを積んでます。Quadra800と同じCPU。だからコイツをサブに使ってもいいんだけど、いかんせん、コイツは表示色が少ない。画面表示を640×400ピクセルにすると32000色出るけど、これだと上下が欠けるですよ。なんかワイドテレビみたいになっちゃってね。で、640×480ピクセルにすると、256色になっちゃう。それより何より、外部のモニタを使うと、どっちみち256色なのね。これじゃあ、仕事には使えない。だから外へ行くときにだけ持っていくんだけどね。

 実装メモリ24MBのQuadraとは、約半年だったけど、かなり仲良くやってきました。フリーズもほとんどなかったしね。一度、どうしようもなくフリーズを繰り返したことがあったけど、それは私が作った画像ファイルが壊れてて、それをPhotoshopで発行して、Illustratorで引用しようとしたときだったのね。これはどのマシンでも再現されたので、Quadraのせいじゃなかったのですよ。

 そんなQuadraと(たぶん)来週、さよならするでしょう。だからこれから、最後のメンテをしてやろうと思ってるんです。システムは漢字Talk7.5.3が入っているので、そのままにしておこうと思ってます。アプリケーション類は、やっぱ消しておいた方がいいよね、法的にも。自分で作ったデータも、ちょっとだけ入ってるんで、そいつを移動しよう。制作物のほとんどは、自前の外付ハードディスクに入ってるから、そっちと合体しよう。そして、内蔵ハードディスクのメンテを一通りしてあげよう。デスクトップの再構築もやり、PRAMのクリアもやり、大阪ですぐに、快適に働けるようにしておいてやろう。それが、この半年間世話になったQuadraちゃんへ、私がやってやれることだから。

 なんか、コンピュータって(っていうかマックって)ただの機械って気がしないんですよ、私。

 うちのカミさんは「コンピュータばっかり増えちゃうから、置くところがなくなっちゃうよ」と言うけど、そんなとき私は彼女に言うのね。「せっかく縁があってうちへ来たコンピュータじゃないか。しっかりメンテをしてやって、気持ちよく動けるようにしてやりたいじゃないか。だからいつでも電源が入るようにしておきたいじゃないか……」

 彼女は私のそんな言葉を「タワゴト」と思っているかもしれないね。でもそれはそれでいい……。

 こんなことを書きながら、ふと顔を左に向けると、うちの初代機であるMacintosh II ciが、静かに余生を送っているのが見える。ハードディスクはぶっ飛んだんで修理してある。だからいつでも使えるけど、ほとんど電源を入れたことはない。でもコイツがここにいると、なぜだか落ち着くんだよね。

 それは本と似ている気がする。本は、一度読んでしまえば、もう一度読むことはあまりない。しかし背表紙がこちらを向いているだけで、その本を読んだことを思い出させてくれるよね。背表紙を見ただけで、その本の内容がおぼろげに思い出せる。そして新たな発想が生まれることもある。だから私は、本を身近に置いておく。

 コンピュータも同じ。現役を退いたヤツをそばに置いておくだけで、昔のつらかった仕事を楽しく思い出すことができるんだよね。「一緒にがんばったよな~」と、思わず語りかけて、ひとときの安らぎに浸ることもあったり……。「縁あって、うちへ来たんだから。これからもここにいろよな」つい、そう言ってしまうんだよねえ。

 だからQuadraが去っていくのは、ちょっぴり寂しい。半年も一緒に仕事をしてきたヤツなんだから。でも借り物なんだから返すのは当たり前。だからちゃんとメンテをしてやろうと思う。

 大阪でも頑張れよ。じゃあな、Quadra!

copyright : Masaru Inagaki(1998.6.7)

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