ある雑誌で、吉目木晴彦という人の文章を読んだ。名字の「吉」という字は、ホントは上半分が「士」じゃなくて「土」だけど、外字扱いになるんでインターネットなどでは表現できない。だからここでも(申し訳ないんだけど)「吉」のママ書かせてもらうね。この字は「土」+「口」だと思って読んで下さい。
とまあ、こういう問題がコンピュータの世界にはある。漢字全部を網羅できないんだ。森鴎外の「鴎」の字だって、左側のヘンの中は「メ」じゃなくて、「品」のはずなんだけど、コンピュータの世界では「鴎」で統一ってことになってる。これってヘンだよね。
データ管理の面から考えると、人間の名前など固有名詞もコンピュータで管理した方が便利。でも、あらゆる漢字を網羅しようとすると大変だから「この字は、ないことにしよう」とか「この字は、こっちの字と同じにしよう」なんてことになる。もちろん初めからそういういうつもりで一覧(JISのね)が作られた訳じゃあない。作られたときは、今のようにコンピュータが普及するなんて(きっと)考えられていなかったんだろう。でも普及した。だから問題が出てきた。
で、こういう外字ってのを表現するために、漢字の一覧の余った部分をメーカーが使いだした。でもって、そのへんが統一されていなかったので、問題がおきたというわけだ。あるメーカーのワープロを使って作った文書(外字入り)は、ほかのメーカーのワープロへ持っていくと(もっていけた場合)、外字が違うものになったり、空白になったりする。これって困る。でも外字は必要。こういう問題が、最近いろいろ出ている。
そこで、ユニコードなるものがでてきたんだけど、これもちょっとね~ってことらしい。ユニコードについては、私は(不勉強で)ほとんどわかんないんだけど、とにかく今後、一般化していく兆しがありそうだ。
で、なんでこんなことを書いてるかっていうと、こういう漢字の問題について、立ち向かっている人がいるのだ。吉目木晴彦氏がその一人。雑誌での文章を読んだとき、正に「目からウロコが落ちる」って感じだった。こりゃすごい、そうだよな。なんでコンピュータを使うことで、こんなにも漢字で苦労するんだろう。そんな(いつもどこかで思っていた)ことが、急に大きな問題として認識されたってわけ。
さて、こうした問題を取り上げた本が出ている。『電脳文化と漢字のゆくえ』という吉目木晴彦氏の本だ。平凡社刊で1900円。さっそく読みたい。仕事が忙しいけど、読みたい。てことで本屋に注文しようと、ここにメモ書きがある。これを本屋のおねえさんに渡すのだ。いつも行ってる本屋さんは、JR岡崎駅の西側にある「城南書店」で、ここにはオンラインで書籍を調べたり発注したりできるシステムがあるんで、うれしいんだ(なんのこっちゃ)。だからここへ発注しようと、今、思ってる。
てことで(なにがなんだか分からんが)今日の「イチオシ」は、吉目木晴彦氏の本。『電脳文化と漢字のゆくえ』は、まだ読んでないんで感想は書けないけど、雑誌で読んだ文章からすると、きっと面白い(と思う)。知的好奇心を必ず満足させてくれると思うよ。
ちなみに、吉目木氏は実は作家で、今度映画化された『ユキエ』の原作者だそうだ。原作は『寂寥郊野』といい、戦争花嫁が主人公の話だとか(読んでないけど)。芥川賞受賞作だそうだ。興味のある人は、こっちも読んでみてね。
※『電脳文化と漢字のゆくえ』刊の情報は、平凡社の雑誌『月刊百科』3月号より。吉目木氏のプロフィール、映画とその原作などについては、講談社の雑誌『IN★POCKET』3月号より。
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